情報システム問題から捉えた日本の社会的文脈に関する考察

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  • The Social Contexts of Japan through the Information Systems Problems
  • ジョウホウ システム モンダイ カラ トラエタ ニホン ノ シャカイテキ ブンミャク ニ カンスル コウサツ

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抄録

情報システムを巡る社会的な問題は、技術的なICTシステムとそれを導入しようとする組織や社会における利用者たちの情報行動の捉え方のミスマッチにあると言っても過言ではない。そのため、情報システムの構築に際しては、ICTシステムの計画段階でその組織や社会で人々が形成している情報システムをまず分析し、ICTシステムによって形成可能な新しい情報システムの実現性や目標設定などの策定を踏まえて、具体的なICTシステムを設計するプロセスとしての「情報システムデザイン」が重要視されている。しかし我が国では、利用者の意見を聞き入れつつも着地点が明確な現行システムに依存した表層的事象の実現が優先されることから、ICTシステムのあり方や位置付けをも含めた議論が必要となる本質的な分析や設計は忌避され、結果的に利用者を中心に据えず、逆に周縁に押しやってしまうデザインが散見されている。そのことは、利用者の現実的行為をシステムデザインの射程外に置き去りにする一方で、多くの逸脱行為を誘発してしまう要因ともなる。本論文では、そのような事例として日本で多発する個人情報流出インシデントに着目して社会的文脈との整合性の視点から分析すると共に、情報システムデザインを巡る日本の社会的文脈について議論する。

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