癌性腹膜炎を主たる病変とする原発不明癌の一群の予後解析

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  • The prognosis of patients with cancer of unknown primary origin showing mainly carcinomatous peritonitis

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抄録

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【背景】原発不明癌は予後不良だが、予後良好群が存在する。代表的なものに漿液性腺癌、女性、癌性腹膜炎のみ、CA125上昇の4条件を満たす、腹膜癌類似経過を辿るサブセットがあるが、実際条件を満たす例は少ない。一方条件を一部満たさないが腹膜癌類似経過を辿る予後良好な症例も確かにある。そこで本研究では癌性腹膜炎を主たる病変とする原発不明癌のうち、腹膜癌のような良好な経過をとる一群を拾い上げる条件について後方視的に検討を行った。 【方法】当院腫瘍内科で化学療法を行った、癌性腹膜炎が主たる病変である原発不明癌26例を後方視的に検討し探索的な解析を行った。倫理審査委員会承認を得ている。 【結果】漿液性腺癌、女性、癌性腹膜炎のみ、CA125上昇を完全に満たす例は1例で、漿液性腺癌を腺癌に条件緩和すると、8例であったが感度特異度、生存差の検出は不十分であった。実臨床を意識し、胸水とリンパ節転移を許容しCA125高値をCA125/CEA>100に条件を変更すると、奏効に対する高い感度(100%)特異度(86%)を得、全生存期間で有意差(890 vs 64 days, p<0.001)を得た。 【考察】腹膜癌の条件を完全に満たす例は少ないが、腺癌が否定できない、女性、癌性腹膜炎が主たる病変だが胸水かリンパ節転移の存在は許容(リンパ節の部位は問わない)、CA125/CEA比>100といった新たな条件は有用である可能性が示唆された。

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