堺市立幼稚園の和音感教育を取り入れた保育実践 : 1938(S13)年版と1939(S14)年版の二つの保育実際案の比較

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  • サカイ シリツ ヨウチエン ノ ワオンカン キョウイク オ トリイレタ ホイク ジッセン : 1938(S13)ネンバン ト 1939(S14)ネンバン ノ フタツ ノ ホイク ジッサイアン ノ ヒカク

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抄録

本稿は、1930年代末に大阪府堺市立第一幼稚園において取り組まれた和音感教育実践について、1938(S13)年版と1939(S14)年版の保育実際案を比較検討し、その具体と特質を明らかにすることを目的とするものである。二つの保育実際案からは次のことが明らかであった。第1には、視学佐藤吉五郎の指導のもと第一幼稚園では、保育の中に毎日の和音感教育を取り入れ、改善しながら実践を蓄積していった。この和音感教育は音楽内容の系統ではなく、子どもの学習活動に基づいて順序だてる方法を模索するものであった。この実践は2年間の試行錯誤の中で教材や指導方法の開発を積極的に行った保姆たちの実践力に依るところが大きかったといえる。第2には、和音感教育にかかわる指導内容・方法が1年の間に量的に拡大したこと、あわせて身体動作を伴うリズム活動やゲーム的要素を含んだ遊戯活動も増加し、楽曲による綜合的な和音感教育から綜合保育主題の中に和音感教育を取り入れるものへと保育計画が変化していったことである。すなわち和音感教育の遊戯化、総合化を図り、それを改善の方向性としたといえる。このことは、限られた保育時間の中で幼児の興味関心のもと和音感教育を実現していくために必要な要件であり、保育と和音感教育を両立させるための折衷的着地点であったといえよう。

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