島ラッキョウ(Allium chinense)濃縮エキスのアンジオテンシンⅠ変換酵素阻害

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抄録

ラッキョウは、古くから漢方薬として心血管疾患の治療や血糖値上昇抑制、血圧降下作用、血中コレステロール低下作用など伝承的薬理効果のある食材として使用されてきた。本研究では、多くの生理機能が知られている食用植物である"島ラッキョウ"に着目し、その濃縮エキスの機能性について評価した。DPPHラジカル消去活性は3.31~3.53 mM TE(Trolox equivalent)となり、高い抗酸化活性を示した。島ラッキョウ濃縮エキスに含まれるフルクタンの濃度は15.23〜17.85 mg/gと高い含有量を示し、市販されているラッキョウエキス(1.60 mg/g含有)に比べ10倍相当も高く、水溶性食物繊維が失われることなく濃縮されていることが明らかとなった。島ラッキョウ濃縮エキスについて、血圧昇圧のレニン〜アンジオテンシン系におけるアンジオテンシンⅠ変換酵素(ACE)阻害活性を評価した。島ラッキョウ濃縮エキスの100倍希釈液は、いずれもACE活性が51.9〜56.1%までに減少し、ACE阻害活性のIC50値は、11.4 mg/mLであった。一方、S-アリル-L-システイン(SAC)にもACE阻害活性があることが知られているが、島ラッキョウ濃縮エキスに含まれていたSACの濃度1.1ならびに5.5 µg/mLでは、わずかな阻害しか見られなかった。一方、Allium属の熱処理によって生成されるmelanoidinや含有するquercetineには、高いACE阻害活性を有していることが報告されている。島ラッキョウ濃縮エキスについてもquercetineなどのフラボノイド類が効率よく濃縮され、同様の阻害作用を示しているものと推察された。

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