国際政治の構造変化と民主化支援の動向

書誌事項

タイトル別名
  • The Structural Changes of International Politics and the Trend of Democracy Support

抄録

本稿では、広義の民主化支援の動向と変化の要因を、国際政治の構造変化と絡ませながら検証する。民主化支援活動は、西側諸国優位の中、1980年代終盤から90年代にかけて民主化の「第三の波」とともに発達した。しかし、2003年のイラク戦争以降、民主化支援はバックラッシュにさらされた。このバックラッシュは、欧米の「衰退」と中国など新興国の「台頭」という国際社会の権力構造の変化で拍車がかかった。2011年の「アラブの春」により、多くの政権は民主化支援への警戒をさらに強めた。NGOへの統制強化など、民主化支援に対処する政権側の戦略は巧妙かつ大胆になっていく。この民主化支援へのバックラッシュに対し、西側諸国やEUなど国際機構は、活動の工夫や国際的な連携で対処しようとしてきた。しかし、西側諸国の国際的優位が失われていく中で、安全保障や経済的利益に対する民主化支援の優先順位は低下し、対象国の政権が望まない政治的分野を避けるなど民主化支援の「非政治化」が進んでいる。

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