日本における「学校の安全・危機」言説の展開 : 「教育と管理」の維持と「専門的事項」の捨象という“枠づけ”

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Abstract

概念にはその前提や内実となる考え方が含まれ、人々に共有・流布される言説によって生活や制度が形作られる。「学校の安全・危機」について言説を跡づけると、児童生徒の事故や災害が喫緊の課題とみなされ、金銭補償として日本学校安全会法が法制化された。その後、学校安全は、様々な教育問題の解決を求める社会的要請への対応として、その業務が拡大していった。学校健康教育の領域である学校安全は、学校給食や学校保健と同じ「教育と管理」という区分は変わらず、有資格者の業務となるべき「専門的事項」という規定は問われなかった。教職員は十分な養成・研修を受けていないが、教育や管理を行っていることになり、保護者などの切実な願いを果たせるものとは限らず、教職員や設置者などの法的責任となり得る。社会的要請に対応するには、「教育と管理」の維持と「専門的事項」の捨象という枠づけを再考する必要がある。

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