医療の「現場」をめぐる価値とまなざし : 組織倫理学を考える理由

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  • イリョウ ノ ゲンバ オ メグル カチ ト マナザシ ソシキ リンリガク オ カンガエル リユウ

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Abstract

近年、医療現場の倫理を支援する取り組みが多くの病院で展開されるようになってきた。そうした流れの中で、倫理学研究者が医療現場に赴き、支援を試みる際、その頭の中にあるのはバイオエシックスの考え方である。生命をめぐる倫理的問題群への応答を試みる応用倫理学の一分野として、20世紀後半に登場したバイオエシックスは、現場の問題群に倫理学はいかに応答できるのかという問いを抱えながら、医療現場の倫理を支援するアプローチとして検討され、そのアプローチは実際の対策として採用されている。しかし、そもそも、このアプローチは、医療現場の倫理―現場に現れる価値や規範―を見定めたものだったのだろうか。その研究には、何か見落としてきた視点があるのではないか。この疑問は、そのアプローチを試みようとした倫理学研究者(筆者)が実際の現場にふれ、その場所に立ち現れていた価値や規範を目の当たりにしたことで浮かび上がった。本稿は、実際の現場に触れた体験を反省し医療現場の倫理を描き出すことを通して、倫理学研究で見落とされがちな視点を明らかにする。

Journal

  • 人権問題研究

    人権問題研究 17 21-49, 2020-03-31

    大阪市立大学人権問題研究センター

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