<論説>古病理学的ストレスマーカーが示す江戸時代人の健康と男女の格差 (特集 : 病)

DOI HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>Disparities in the Health of Men and Women in the Edo Period as Seen in a Paleopathological Stress Marker (Special Issue : Desease)
  • 古病理学的ストレスマーカーが示す江戸時代人の健康と男女の格差
  • コ ビョウリガクテキ ストレスマーカー ガ シメス エド ジダイジン ノ ケンコウ ト ダンジョ ノ カクサ

この論文をさがす

抄録

江戸時代、東北北部太平洋側の地域は、度重なる「やませ」の影響を受け、飢饉に苦しめられた地域であった。ここから出土した人骨を調べたところ、古病理学的ストレスマーカーであるエナメル質減形成を認めた。その出現率や重症度は、他の地域集団よりも高く、この地域の人々は深刻な低栄養状態を経験した集団であることが、骨から裏付けられた。また、エナメル質減形成の出現率は、地域集団により男女差の有無が異なり、男女差がある理由として家父長制の浸透による女性の地位低下の傾向が指摘されている。しかし、この地域では出現率に男女の差は無かった。家の継承を重視し男児が尊重されていた江戸時代にあって、性別による出現率の差が無い事実と、エナメル質減形成の出現率の高さ、重症度の高さから、この地域の人々は、生き残るという最重要課題を前に、性別で区別されることなく育まれた人々であった。

収録刊行物

  • 史林

    史林 103 (1), 72-102, 2020-01-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ