『ハットゥッシリ3世の弁明』における「愛」 : 「愛」を意味するヒッタイト語の表現について

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タイトル別名
  • "Love" in apology of Ḫattušili III : a study of some Hittite words meaning "love"
  • ハットゥッシリ 3セイ ノ ベンメイ ニオケル アイ : アイ オ イミ スル ヒッタイトゴ ノ ヒョウゲン ニツイテ
  • ハットゥッシリ3世の弁明における愛 : 愛を意味するヒッタイト語の表現について

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抄録

ヒッタイト王国は前2千年紀のアナトリア中央を中心に栄えた王国である。前13世紀のヒッタイト王ハットゥシリ3世が作成した『ハットゥシリ3世の弁明』という文書には、王と王妃プドゥヘパの「愛」について述べられる箇所がある。本稿では、この文書において王と王妃の愛が語られる理由を、ヒッタイト語で「愛」と訳される語の用例から考察する。愛にかんする語の用例には、男女の関係としての「愛」と支配者の関係としての「愛」がある。このことを踏まえると、ハットゥシリとプドゥヘパの「愛のある関係」とは、イシュタル神の力で異性として惹かれ合い、夫婦として調和のとれた様子を意味したと理解される。加えて、政治的文脈で使用される用例からは、支配者たちが契約関係を結ぶための法的根拠となる術語であったこともわかる。したがって、『ハットゥシリ3世の弁明』にみられる「愛」とは、愛情をもった夫婦であることを示すと同時に、ハットゥシリ3世が政治的なパートナーとしてプドゥヘパの高い地位を法的に認めるために言及したものと考えられる。

収録刊行物

  • 一神教世界

    一神教世界 11 1-15, 2020-03-31

    同志社大学一神教学際研究センター(CISMOR)

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