コンヴァージョン研究を通した共創の可能性
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- 桂 悠介
- 大阪大学大学院人間科学研究科
書誌事項
- タイトル別名
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- Potential for Kyouso (co-emergence) through conversion study
- As a starting point for understanding the relationship between Islam and mainstream Japanese society
- 日本の主流社会とイスラームの関係を捉える出発点として
抄録
本稿の目的はコンヴァージョン、生き方や考え方の根源的な変化のプロセスの研究に「共創」の可能性があることを提示することである。特に日本社会において一般的にイメージが芳しくないイスラームへのコンヴァージョンに焦点を当てる。本研究において「共創」は従来の創造的共生をめぐる議論を踏まえ「創発的」な共生と捉える。共創が必要な領域として日本社会における様々なレベルでのイスラームをめぐる共生という課題があるが、それらの課題の前提には、主流社会とイスラームの認識論上の根強い境界が存在する。近年、その境界を問い直しうる「日本人ムスリム」研究がなされ始めたが、先行する「日本的イスラーム」や「異化を通じた社会統合」アプローチには、同化や他者化といった問題がある。個々人の「内的世界の創発性」を示すコンヴァージョン研究は他者とされてきたイスラーム理解と同時に自己理解の深まりを提示することで、双方の境界を相対化する可能性がある。長期的にはコンヴァージョン以降の実践の結果として、ムスリム・コミュニティにおける日本の主流社会への理解の深まり、新たな関係性の創出や、さらなる実践における課題を見出しうる。
収録刊行物
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- 未来共創
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未来共創 7 (0), 161-192, 2020
国立大学法人 大阪大学大学院人間科学研究科附属未来共創センター
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390569247309501440
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- NII論文ID
- 130008028844
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- ISSN
- 24358010
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可