「履修カルテ」「自己評価票」「ポートフォリオ」の諸問題

書誌事項

タイトル別名
  • The Issues over“ Study Carte”“Self-evaluation Sheet”“Portfolio” in the Course of Student Teachers’ Practicum

抄録

本研究は、現在多くの大学の教職課程で実践されている「履修カルテ」「自己評価票」に関 する内外の論文からその起源と本来の狙いと実質的な効果について分析と考察を進めたもの である。これらの自己評価票は、元々「ポートフォリオ」としての意味が隠されており、そ のような用語で実践を進めている大学があることから、その表題も付記する必要があった。 特にその元となっているアメリカでは、その用語を用いている場合が多いので、本探究では、 そのような表題とした。教職における自己評価のような運動は、元々アメリカを起源として いる。それは、自己の実存を自己反省的に再生するというような狙いが含まれていた。それ は、アメリカの教育実習=教職課程では、「反省的教授」というような方法で、自己の存在自 体を社会的公正や社会的階層性を見つめ直すという反省的実践に結びつけるというやり方で 実践されていた。このような反省的実践は、日本のように履修カルテや自己評価票というよ うな官僚的な文書作成の作業として制度化されると多様な問題が出てきた。一番重要と思わ れることは、教職において重要とされる社会的使命感や子供理解のような資質形成が、単な る形式的な文書作成として学生には認識され、形骸化した文書作り作業となってしまってい るということである。これら一連の教職課程の文書作りについて、本来求められていたもの が何であったのか、アメリカの学生の反省的実践の実例を照らしわあわせることにより、再 度、その「質」を向上のためには、必要とされるものは何かということを提起した。

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