トランスジェンダーの普遍化によるGIDをめぐるアンビヴァレンスの抹消

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タイトル別名
  • Erasing Ambivalence Related to Gender Identity Disorder Through the Universalization of Transgender
  • トランスジェンダー ノ フヘンカ ニ ヨル GID オ メグル アンビヴァレンス ノ マッショウ

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抄録

GID(性同一性障害)の医療的・法的な制度化に反対する論客らは、GID とは対抗 的と目されるTG の概念に立脚して、GID 体制に対する批判を展開してきた。本論文 は、こうした批判的な言論をトランスジェンダー論と呼び、そこにおいて制定されて いるGID とTG の対立構造を、アイデンティティとしてのGID の位置づけに着目して 検証する。本論文はまず、この対立構造を構成する障害-個性、身体-社会、日本- 世界、他者-自己という四つの二項対立を同定する。次に、ジュディス・バトラーの 呼びかけの議論を援用しながら、GID が障害であることを否認しながら肯定するとい う二重の身振りによって特徴づけられるGID へのアンビヴァレントな同一化をエイ ジェンシーの行使として位置づける。そして、GID-TG の対立構造を通じて、TG は GID が表象する他者性を排除することによって普遍的なカテゴリーとして構築される ために、このアンビヴァレンスは抹消されてしまうと論じる。

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