「真実」の転移と新たなリアリティ : 南部スーダン、ヌエル社会における「予言の成就」の語りを事例に

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  • シンジツ ノ テンイ ト アラタ ナ リアリティ ナンブ スーダン ヌエル シャカイ ニ オケル ヨゲン ノ ジョウジュ ノ カタリ オ ジレイ ニ

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2010年11月現在、一国の独立を決める住民投票を控え、南部スーダンの住民の間では徐々に期待と緊張が高まってきている。度重なる内戦や平和構築、今回の住民投票を含む民主化への動きなどさまざまな出来事を経験してきたナイロート系牧畜民ヌエル(Nuer)の一部の人々の間では、それらの出来事はある予言者によってかつてなされた予言が「成就」したものであると語られてきた。本論の目的は、ヌエル社会において人々の歴史観や未来観と不可分に結びついてきた「予言の成就」に関する語りに注目し、新たな歴史的出来事を通じて刷新され続ける予言のリアリティのあり方について考察することである。本論では予言や予言者を取り巻く周囲の人々の語りが、各々の経験や偶然的な出来事を組み込みながら、特定の語りの要素を結節点としてゆるやかな「原因」と「結果」の関係で結ばれ、複数の人々にとって「真」たりうるストーリーとして重層性を帯びてゆく様相を明らかにする。

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