レンタルビデオ店のアーカイヴ論的分析に向けて : 初期店舗の生成過程とその条件

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  • レンタルビデオテン ノ アーカイヴロンテキ ブンセキ ニ ムケテ : ショキ テンポ ノ セイセイ カテイ ト ソノ ジョウケン
  • Toward an Archival Analysis of Video Culture : The Emerging Process and Conditions of Video Rental Stores

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映像文化は元来、上映期間・放映時間を終えると対象に再アクセスすることが難しいという性質から、一回性に基づいて経験されてきた。だが1980年代以降、家庭向けビデオ機器が普及し、安価にソフトを貸し出すアーカイヴとしてのレンタルビデオ店が成立した結果、人びとは自由なタイミングで繰り返し視聴できる能力を得た。それに応じて映像文化の経験は根底から変容し、それに対する言説や研究方法も再編成された。このように考えた場合、映像文化史の展開を理解するためにはレンタルビデオ店の分析が欠かせない。そこで本稿は、レンタルビデオ店との関わりから映像文化やその研究領域の変容を捉えるための前段階として、レンタルビデオ店が生成する過程とその条件を分析した。1983年以降、同時代のレコードレンタルやハリウッド資本の市場参加を背景にしながら、日本ではレンタルビデオ方式の標準化と多様化が進み、レンタルビデオを正規に営む店舗が増えた。他方で、商品リストの差別化や価格競争のために海賊版ソフトなどを用いる非正規店が乱立した。当初は非正規行為を規制する法制度は整っていなかったが、著作権法の改正やレンタル方式の改良を通じて非正規店は減っていった。非正規店が減るのと並行して、レンタルビデオ店は「文化=カルチャー」を参照しながら自己イメージの刷新に努め、徐々に「レンタル生活様式」が人びとの間に浸透していった。

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