両大戦間期東京市における小売商店の職住関係 : 銀座通商店街の事例から

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タイトル別名
  • Transformation of the relationship between workplace and home in the Ginza shopping street : 1900-1940
  • リョウ タイセン カンキ トウキョウシ ニ オケル コウリ ショウテン ノ ショクジュウカンケイ : ギンザ ツウショウテンガイ ノ ジレイ カラ

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抄録

本稿では,両大戦間期東京市における小売商店の職住関係(職住一致か職住分離か)について,銀座通商店街を事例として,地価・賃料の動向や,小売業経営の視点,住生活環境の問題などに注目しつつ実証的に検討した。結果は以下の5点に整理できる。①職住分離の動きは関東大震災(1923年)の前から始まっていたが,震災後の変化が特に大きかった。②住生活の面からみると,銀座通り沿いの住環境は悪く,健康・安全面での不安と高い家賃水準のために,郊外居住を含めた職住分離のほうに利点があった。③土地・建物の利用に即してみると,当該期の地価の高さは小売業経営における坪効率の高さによって十分吸収できるものであったため,売場面積をさらに拡張するために,職住分離によって営業用床面積を増やすことに利点があった。しかし一方で,④従業上の観点からは,長時間営業を可能にする職住一致の利点が大きく,そのことは住み込み形態による店員の職住一致が店主のそれよりも根強く残った点にあらわれていた。さらに,⑤家族観に注目すると,店員との共同生活を「楽しい」「賑やか」とみる商人家族的な価値観が職住一致を積極的に選ばせていた。

収録刊行物

  • 經濟學研究

    經濟學研究 70 (2), 45-99, 2020-12-17

    北海道大学大学院経済学研究院

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