『京の水』の資料性について ―江戸時代後期の漢字表記と振り仮名―

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  • 『 キョウ ノ ミズ 』 ノ シリョウセイ ニ ツイテ : エド ジダイ コウキ ノ カンジ ヒョウキ ト フリガナ
  • On the Japanese language circumstances in the latter half of the Edo era: Investigation report on "KYOU NO MIZU" documents of Hirosaki City Library possession

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『京の水』は、寛政二年(1790)に成立したもので、秋里籬島が作成した、地誌に分類される文献資料として『国書総目録』に記載が見られる。本資料に限らず、これに類する地誌資料は、地理学分野で研究対象とされたことはあるが、日本文学や日本語学の分野で扱われることはなかった。こうした背景をふまえて、弘前市立図書館所蔵の『京の水』を取り上げて、書誌的調査を実施し、その結果とともに諸特徴について紹介した。地誌資料でありながら、日本文学や日本語学の研究分野においても、価値を有する資料である可能性について、検討を試みたものである。本資料では、地誌を解説する際に古典文学作品や著名な文学者を多数引用していることが明らかになった。国語資料としての有用性については、漢字表記に付された振り仮名に注目し、四つ仮名や連声、カ行合拗音といった言語事象について考察検討した。『京の水』という地誌資料を通して、江戸時代後期の文学受容や文字生活が物語られた事例であり、貴重な報告といえるだろう。

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