書誌事項
- タイトル別名
-
- Promenades in the Landscape Paintings: Narration and Description in Diderot’s Salons
抄録
フランス啓蒙主義時代の哲学者ドゥニ・ディドロは、その絵画批評のなかでたびたび、「絵画のなかに入り込み、歩き回る、あるいは旅をするという体裁で描写する」ことを行なっている。それは、読者の想像力と趣味(goût)を通して、情景を再構成せしめるための修辞法であった。本論文では、ディドロによる「サロン評」のうち、とりわけ風景画の記述における「絵の中に入り込」み、「絵の中を歩く」描写に着目し、分析と考察を行う。これを、18世紀のテクストと絵画経験における「散歩」や「歩行」というテーマ系の中に位置づけることが、ここでの目的である。 まず、ディドロ「サロン評」の風景画記述の総体を踏まえて、特徴的と思われる部分を抽出する。次に、「歩行」をめぐる同時代の特徴的なテクストとの比較を行う。エクフラシス(視覚芸術の言葉による描写)という修辞学的伝統をはみ出して、「テクスト内空間の想像的な歩行」を行うディドロの絵画批評がその特徴的な一例をなすような、18世紀の思想的基盤を明らかにするのが、本論文の目的にして意義である。
収録刊行物
-
- 和洋女子大学紀要
-
和洋女子大学紀要 62 13-24, 2021-03-31
和洋女子大学
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390290699776332416
-
- NII論文ID
- 120007003063
-
- ISSN
- 18846351
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles
- KAKEN
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可