教育環境の多様性を踏まえた 教育制度に向けての実験 ─ フィンランド、カンヌス市エスコラ地区の事例 ─

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タイトル別名
  • キョウイク カンキョウ ノ タヨウセイ オ フマエタ キョウイク セイド ニ ムケテ ノ ジッケン : フィンランド 、 カンヌスシ エスコラ チク ノ ジレイ
  • An Experiment Toward the Education System Based on the Diversity of the Educational Environment: The Case of Eskola, Kannus City, Finland

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抄録

福祉供給における公的責任の大きさによって特徴づけられてきた北欧型福祉国家におい ても、その成立を支えた条件の変化に伴い、市場化を含む制度改変が行われ、財政の健全 化と福祉供給の維持、効率化と平等の両立、さらには選択の自由の拡大が目指されている。 北欧型福祉国家に分類されるフィンランドでも、社会福祉、医療保健サービスの分野では、 民間、非営利組織の利用が進んでいる。一方、学校教育に関しては、私立学校は例外的な 扱いに留まり、自治体が財政、供給を担う公教育中心の体制が続いている。この体制の下、 1990年代の不況期以降、自治体による学校(とくに日本の小・中学校に相当する総合基 礎学校)統廃合の決定が相次いでいる。多くの地域で、私立学校化による学校の維持存続 の試みがとん挫する中、総理府の実験プログラムを利用し、公教育の枠組みの下で、地域 住民が社会的企業を立ち上げ、コミュニティ組織、地域の企業をつなぎつつ、自治体のパー トナーとして学校を維持する試みが、中央ポホヤンマーマークンタ、カンヌス市エスコラ 地区で行われている。この事例は、フィンランドの総合基礎学校が、1970年代の発足以来、 堅持してきた教育機会の平等の理念とともに、学校に対する地域ごとに多様なニーズに対 応する制度に変化するかを見る上で、重要な意味を持っている。

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