カウツキーにおける「人口問題」と「人種の改良」

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タイトル別名
  • カウツキー ニオケル 「ジンコウ モンダイ」 ト 「ジンシュ ノ カイリョウ」
  • Karl Kautsky on population problems and improvements of human races

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抄録

カウツキーはドイツ・マルクス主義の理論的指導者として位置づけられ,少数民族に冷淡な立場をとったとされてきたが,近年ではオーストリアの民族問題に関連して,民族の自治や共生を支持したことが評価されるようになった。このような評価は,生態系におけるさまざまな生物の,また国際社会での諸民族の共存を強調する,カウツキーの進化論的考察とも合致する。だがカウツキーは,社会主義においては自然選択は消滅するため,人為選択による「人種の改良」が必要と論じていた。人種的な退化を防ぎ,改良をはかろうとする優生学的思想を意味する。この一方における「共生」の論理と,他方での「排除」をもたらしかねない論理は,どのように理解すればよいのか,検討が必要である。本稿では人口問題に関するカウツキーの立場をふまえ,「人種の改良」が論じられた理由を検討する。そして共生と優生学的な論理はいかに併存しているのか,考察する。

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