戦時下の歴史話劇について

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  • センジカ ノ レキシワゲキ ニ ツイテ
  • A Study of Historical Spoken Dramas in Wartime

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Abstract

本稿では、日中戦争期に創作・発表・上演された歴史話劇をめぐって、理論的な側面と実態(全体像)の双方からの考察を試みる。理論的な側面では、まず、「歴 史話劇」を歴史上の人物や出来事を題材とする話劇作品だと定義し、その方法としては基本的には「模倣と刷新」の連続作業を通して、主人公を歴史のなかで駆け抜けさせるか、往来させるような作業であると論じた。次に、歴史話劇が必要とされる根本的な理由は、当時における民間の集合的記憶と大衆の文字リテラシーの情況にあったとしたうえで、国家権力の不都合をすり抜ける工夫こそ歴史話劇の政治性であることを分析した。最後に、歴史人物に対する評価問題から歴史人物を扱う歴史話劇での扱い方の難しさについて検討した。全体像については、1931年から1945年にかけて創作・発表された歴史話劇132作を年代順に抽出し、集計・精査した。そこから分かるように、顧毓琇・王泊生・張匤・李朴園・郭沫若などによる作品が多く存在している。また、歴史話劇でよく取り扱う歴史時代と人物としては、古代中国の春秋戦国の荆軻や西施;古代中国の南宋時代の岳飛や韓世忠;明王朝から清王朝への移行期の崇禎帝や李自成;清末の動乱時期及び太平天国時期の賽金花や洪宣嬌などが頻繁に登場している。

日中戦争

歴史話劇

借古喩今

顧毓琇

郭沫若

identifier:BO010500010859

Journal

  • 文学部論集

    文学部論集 105 27-42, 2021-03-01

    佛教大学文学部

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