境界としての「坂」 : 神話的空間からの脱却

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タイトル別名
  • キョウカイ ト シテ ノ 「 サカ 」 : シンワテキ クウカン カラ ノ ダッキャク

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抄録

『古事記』には、後に「天下」となる葦原中国と異界との間に二種類の「坂」が存在している。それは「黄泉ひら坂」と「海坂」であるが、いずれの「坂」も異界に赴く際は問題にされず、属する<国>に戻る段階においてようやく登場するという特徴を持つ。それには<国>作りという問題が大きく関わってくる。なぜなら天皇の世界=「天下」を指向する『古事記』の世界観では、異界との関わりはその上においてでしか意味をなさないからだ。そしてそれは異界との境界である「坂」も同様である。本稿では『古事記』における異界との間に存在する「坂」の意義を<国>作りという観点から見ていくことで、境界としての「坂」は、上巻の神話的空間から脱却し、後の「天下」を指向する『古事記』にとって必要不可欠な<国>作りの一部であったことを論じていく。

identifier:KG002500008815

収録刊行物

  • 京都語文

    京都語文 25 197-209, 2017-11-25

    佛教大学国語国文学会

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