表情顔認知における脳血流反応と性格特性の関連

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  • ヒョウジョウ ガン ニンチ ニ オケル ノウ ケツリュウ ハンノウ ト セイカク トクセイ ノ カンレン

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養育者は乳児の情動表情の微細な変化を敏感に受け止めて、取るべき養育行動を判断している。そのため養育者は乳児の顔表情などから的確に情動を認知し理解する必要がある。しかし、育児経験の無い青年期成人においては、乳児の表情のみからの情動認知は難しく、感受性や理解のしかたには個人差があると考えられる。そこで本研究では、青年期成人が乳児と成人の表情顔を認知しているときの脳機能を近赤外線分光法によって計測するとともに、性格検査を実施し、表情顔に対する脳反応と性格特性の関連について検討することを目的とした。  機能的近赤外線分光法(fNIRS)による脳機能計測とビッグ・ファイブ人格検査の一つであるNEOPI-R を実施した結果、前頭前野の顔刺激に対する賦活は人格5 因子モデルの各次元のスコアと関連性があることが分かった。両者の相関を詳しく調べた結果、性格特性のうち外向性や調和性のスコアが高い対象者は、乳児の泣き顔または成人の悲しみの顔に対して前頭前野の顕著な賦活を示すことが判明した。その一方で、神経症傾向のスコアと前頭前野の賦活との間にはいずれの顔表情に対しても有意な相関が見られなかった。本研究より、顔刺激に対する脳血流反応の傾向は個人の性格に依存していることが明らかになった。本研究で得られた結果について今後さらに詳細な分析を行い、青年期成人の顔表情認知に影響を 及ぼす性格特性について明らかにしていきたい。

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