アイルランドにおける食品安全政策と消費者意識

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  • アイルランド ニ オケル ショクヒン アンゼン セイサク ト ショウヒシャ イシキ

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抄録

本稿では、アイルランドにおける食品安全政策の取り組みについて述べ、消費者の食品安全意識の分析を行なった。アイルランドの食品の品質表示規制は、対象や表示目的に応じて、Horizontal labeling legislation、Vertical legislation with labeling provisionsの2つに分類されることを示した。牛肉トレーサビリティ・システムについては、EUにおけるトレーサビリティ・システムの概要を整理し、アイルランド国内の政策的な取り組みについて特に肉牛の固体識別の導入状況について紹介した。有機農産物認証については、EUにおける有機農産物認証の取り組みについて述べ、アイルランドにおける認証ラベルの状況について整理した。地理的表示制度については、まず、EUにおける地理的表示制度の概要について触れ、アイルランド国内における地理的表示制度の普及状況とその制約要因、今後の取り組み課題について述べた。アイルランドの消費者を対象としたアンケート調査から、食品の安全性の不安感については、残留農薬、食品添加物、BSEといった項目について地元消費者の意識が高いことが示された。食の安全確保のための取り組みについては、政府等の公的機関が担うべき取り組みについて消費者の不満度が高いことが明らかとなった。さらに食の安全確保のための取り組みの不満度を規定する要因について分析を行なった結果、公的機関の対応への不満度が高い消費者の特徴として、食品不安度が高いこと、若い世代であること、食品の購入頻度が低いことが示された。一方、公的機関以外の生産・流通業者の取り組みへの不満度が高い消費者の特徴として、食品の購入頻度が高いこと、世帯サイズが小さいことが示された。

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