津島佑子『ジャッカ・ドフニ : 海の記憶の物語』における口承の歌と物語 : 不完全な記憶の中で生きていくために

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書誌事項

タイトル別名
  • ツシマ ユウコ『ジャッカ・ドフニ : ウミ ノ キオク ノ モノガタリ』ニ オケル コウショウ ノ ウタ ト モノガタリ : フカンゼンナ キオク ノ ナカ デ イキテ イク タメニ

抄録

type:text

本論文では、津島佑子『ジャッカ・ドフニ 海の記憶の物語』について、そこで引用されているアイヌの口承文学に注目した読みを試みる。それにより明らかになるのは、語り手が姿を隠すにつれて前景化していく口承文学と口承史が、時代を隔てて複数の物語を繋ぐ様相であり、それぞれの時代に登場人物らが不完全な記憶の中で言語と物語を想起していく生き方である。同時にこのテクストが、先住民文化の継承に関するきわめて現代的な関心の下で、しかし植民地主義の長い時間の幅の経験をつなぐという、驚くべき野心的な試みであることが明らかになる。

自由論題 研究論文

収録刊行物

  • Keio SFC journal

    Keio SFC journal 17 (1), 298-323, 2017

    慶應義塾大学湘南藤沢学会

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