COVID-19流行前後における石川県内滞在者の生活行動変容分析 ~非負値行列因子分解を用いて~

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タイトル別名
  • Analysis of changes in mobility behavior in Ishikawa Prefecture before and after the COVID-19 pandemic using Non-negative Matrix Factorization

抄録

本研究では,COVID-19流行前後における石川県内に滞在する人々の生活行動変化を分析する。携帯電話の位置情報データであるモバイル空間統計を利用することで,国勢調査やパーソントリップ調査等では把握できなかった人々のリアルタイムな行動分析が可能である。携帯電話の位置情報はデータ量が膨大なため,有益な特徴を抽出するための解析法が重要である。本稿では次元縮約に基づいた特徴抽出法である非負値行列因子分解を,石川県内における移動行動パターンの分析に適用した。分析データは,COVID-19流行前の2019年1 月1 日から石川県第3 波期中である2021年3 月8 日までの798日の,それぞれ4 時,14時,19時の3 時点について,石川中央都市圏内4 市2 町(金沢市・白山市・野々市市・かほく市・内灘町・津幡町)を対象とした,500m×500mで区切られた1053メッシュ内人口データを使用とした。すなわち2394時系列(798日×3時点)×1053メッシュデータ行列を作成し,非負値行列因子分解を用いてデータ解析を行った。 分析結果として,非負値行列因子分解の基底数を3 とした時,すなわち上記のデータを3 次元の特徴空間に次元縮約すると,「滞在の行動(就寝)」,「平日の外出行動(就業・就学)」,「休日の外出行動(観光・夜間)」の基底が抽出された。いずれの基底のおいても,特に2020年4 月から5月にかけて発生したCOVID-19の第1波流行期及び緊急事態宣言期間中に生活行動が大きく変化しており,緊急事態宣言解除後の2020年6 月頃にはおおよそ宣言前の水準にまで生活行動が戻っていた。しかし「平日の外出行動(就業・就学)」,「休日の外出行動(観光・夜間)」においては,いずれも2019年の水準までには回復しておらず,依然としてCOVID-19の影響が石川県内においても見られる。

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