「心に残る一言」について ―内言と詩的機能の談話論的考察―

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タイトル別名
  • ‘Memorable Words’: An Analysis of Speech Discourse Genre form the View of Internal Language and Poetic Function
  • 「 ココロ ニ ノコル ヒトコト 」 ニ ツイテ : ナイ ゲン ト シテキ キノウ ノ ダンワロンテキ コウサツ

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抄録

人と人の言語交流のなかで産まれる「心に残る一言」という談話の性格について、内言と詩的機能の観点から談話論的に考察する。内言と外言の区別は、ロシアの心理学者ヴィゴツキーの考察によって深められたが、言語学の領域には浸透していない概念である。ヴィゴツキーによれば、内言は自分へのことば、外言は他人へのことばを指すが、言語機能の相違が影響して構造的本性においても内言と外言は異なる性質をもつとされる。 日常の言語生活でありふれて観察される「心に残る一言」の談話範疇的性格を述べれば、発信者の発話が、受信者の内言において定着し、受信者の心内において完結する談話である。談話表現の面では、音調が伴った短い表現で、発信者と受信者が形成してきた社会的・心理的・歴史的文脈が、重層的に意味を成している談話である。受信者の理解過程で、価値を有した美的経験として感得され、記憶され、受信者の内言世界を再編する力をもつ。これらの表現的性質は、言語がもつ詩の機能とまさに重なる。

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信州大学人文科学論集 9(1) : 13-23(2021)

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