署名記事からみる福島原発事故報道 : 『毎日新聞』 を事例に

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  • Analysis of signed articles in Mainichi Shimbun on Fukushima Daiichi nuclear disaster
  • ショメイ キジ カラ ミル フクシマ ゲンパツ ジコ ホウドウ : マイニチ シンブン オ ジレイ ニ
  • 署名記事からみる福島原発事故報道 : 毎日新聞 を事例に

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抄録

本稿では,福島第一原子力発電所事故直後の『毎日新聞』の報道を分析し,原発に最も近い場所にいた福島県の支局記者たちがどのような取材を行い,それがどのように紙面に反映されたのかを明らかにする。そのことを通じて,事故直後の報道の特異性を浮かび上がらせると同時に,巨大災害直後の記者活動の構造的な制約条件の一端を明らかにすることが本稿の目的である。分析方法としては,①署名記事に着目して毎日新聞社の福島県の支局記者を割り出す,②それらの記者の記事が東京本社版と地方版福島面に掲載された本数などを明らかにする,③記事における情報源を特定し,分類する--という作業を行った。この分析の結果,以下の2点が明らかとなった。第一には,東京本社版に掲載された福島県の支局からの記事の本数が少量ということである。第二には,地方版でも他県の支局や東京本社記者による記事が署名付きで掲載されており,必ずしも福島県の支局記者が事故の状況を真っ先に報じていたのではないことである。福島第一原発は福島県にありながら,県の支局記者が現場で得られる事故の情報は極めて限定的だった。この点に原発事故報道の特異性を見出すことができると同時に,記者活動を制約する構造的条件の一端を見出すことができる。

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