マネジメントの目的におけるパラダイムシフト ―オルタナティブなビジネスにみる人間中心の価値観の競争力―

書誌事項

タイトル別名
  • Paradigm Shift in Management Objectives ―The Competitiveness of Human-Centered Values in Alternative Business―
  • マネジメント ノ モクテキ ニ オケル パラダイムシフト : オルタナティブ ナ ビジネス ニ ミル ニンゲン チュウシン ノ カチカン ノ キョウソウリョク

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抄録

長い間,企業におけるマネジメントの目的は,組織にいかに大きな経済的成果を上げさせるかにあるといえよう。しかし,そのようなパラダイムに基づいた活動を行ってきた結果,ステークホルダーである従業員の能力を十分に引き出すことができず,また,消費者からは選ばれない組織になってしまうことも多い。 では,このような課題をどのように解決すればよいかといえば,これまで当然と考えられてきた,過度な効率性の追求や長いピラミッド型の管理組織の存在を再考する必要がある。労働者は,組織の意思決定に参加できる起業家的な仕事をするようになれば能力を発揮することができるようになり,楽しいと感じられる仕事をすることができれば,高い生産性や創造性を発揮する。つまり,「自分ごと」としてとらえることができる活動には,人間はより積極的になることができると考えられる。 例えば,顧客自身が買い物をするスーパーで働く,英国の会員制スーパーマーケットであるThe People’s Supermarketはビジネスとして成功しているが,様々な社会的課題も解決している。また,コミュニティの小農家が新鮮な食材をマーケットで販売する,英国におけるファーマーズマーケットも,大企業とは異なる方法で消費者やコミュニティのニーズを満たしている。 これらの共通点は,小規模でコミュニティに根ざしたビジネスを行っていること,効率が目的になっていないこと,管理のためのヒエラルキーが存在しないこと,そして働く人々や顧客を人間としてとらえていることである。しかもビジネスとしても成功している。現代の大企業の抱える課題はこれらの事例から学ぶことが多いと考える。

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