弁護士における統合とその弱化 : 綱紀・懲戒事例を手がかりに

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タイトル別名
  • ベンゴシ ニ オケル トウゴウ ト ソノ ジャッカ : コウキ ・ チョウカイ ジレイ オ テガカリ ニ
  • Integrity and Disintegrity of the Japanese Bar : Diagnosis Based on the Record of Discipline

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抄録

本稿では,弁護士の自治性の重要な基盤であるはずの統合が現在どのようなに果たされているか,あるいは果たされていないのか,について社会学的な検討を行なう.弁護士の自治性はさまざまな局面で現われるが,本稿では,綱紀・懲戒の実態に着目し,弁護士会の懲戒公告の数量的な整理に基づいて検討を行なう.先行研究は,もっぱら綱紀・懲戒をめぐる制度的枠組みの次元での検討に留まっている点,また,実態に目を向けようとする場合も二次資料的情報に依拠することが通常である点に照らしたとき,本稿には資料上の新規性がある.その結果明らかになるのは,(i)単位会の水準では,懲戒権の発動される事例が次第に広い範囲の弁護士を被懲戒者として生じるようになり,(ii)同業者によりそのようななされる判断にただちには同意がなされないケースの割合も増加し,(iii)そうした不同意は,弁護士歴の浅い者からも寄せられるようになってきている,というものである.本稿ではそのような事態を,システム論的視角から, 日本の弁護士における統合の弱化と理解する.

収録刊行物

  • 法社会学

    法社会学 83 151-172, 2017-03

    日本法社会学会

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