2002年次皮膚真菌症疫学調査報告

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タイトル別名
  • An Epidemiological Survey of Dermatomycoses in Japan, 2002
  • 2002 ネンジ ヒフ シンキンショウエキガク チョウサ ホウコク

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抄録

日本医真菌学会・疫学調査委員会による2002年度の皮膚真菌症調査成績を報告した. 方法および調査項目は前2回 (1991~1992, 1996~1997) に準じ, 全国に分布した皮膚科外来14施設において, 調査用紙にしたがった検索をおこない, 結果を集計した.<br>1. 全施設をあわせた年間の総患者数 (その年における新患数) は72,660名であった.<br>2. 疾患別では皮膚糸状菌症 (全病型を合わせて7,994例) が最も多く, ついで皮膚カンジダ症, 癜風を含むその他の疾患群であった.<br>3. 皮膚糸状菌症の病型別では, 多い順に足白癬4,813例 (男2,439, 女2,374), ついで爪白癬2,123例 (男1,093, 女1,030), 体部白癬497例 (男281, 女216), 股部白癬299例 (男249, 女50), 手白癬248例 (男144, 女104), 頭部白癬・ケルスス禿瘡14例 (男6, 女8) の順であった.<br>4. 足白癬・爪白癬は夏期に, また人口比では主として高齢者に多くみられ, 特に爪白癬は年を追って増加する傾向が見られていた.<br>5. 原因菌別ではTrichophyton rubrum が最も多く分離され, 病型別では, 足白癬でT. rubrum 1,431株対Trichophyton mentagrophytes 829株以外, 手白癬, 体部白癬, 股部白癬, 爪白癬で分離株数の約90%はT. rubrum によるものであった. Microsporum canis は16株と減少し, Trichophyton tonsurans が12株分離された.<br>6. 皮膚カンジダ症は755症例が見られ, 間擦疹が347例で最も多く, ついで指間びらん (103例), おむつ部カンジダ症 (102例) の順であった. いずれも高齢者に, 局所の日和見感染として発症した例が多かった.<br>7. 癜風・マラセチア感染症その他を含め220例が見られたが, 施設ごとの症例は少なくまた偏りがあり, 施設や性別などで特徴的な所見は出なかった.

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