脊髄終糸の過緊張によって発症した腰痛,下肢痛の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Low back pain and leg pain due to tight filum terminale
  • セキズイ シュウシ ノ カキンチョウ ニ ヨッテ ハッショウ シタ ヨウツウ カシツウ ノ ケントウ

この論文をさがす

抄録

画像診断にて原因不明な腰・下肢痛の中には,脊髄終糸の過緊張によって発症するものも存在する.今回,25例のTight filum terminale(以下TFT)に対して,終糸の切離を行った症例の術後経過を検討した.TFTの診断は,腰痛または下肢痛,膀胱直腸障害,脊椎不橈性,非髄節性神経障害,TFT誘発テストにより臨床診断を行った.手術は,終糸切離をS1高位で行った.術後の症状は全症例中,腰下肢痛の改善が96%に,筋力の回復が68%,知覚異常の改善が68%,膀胱直腸障害の改善は79%,体幹前屈制限の改善は80%で認められた.疼痛の経過は,VAS(Visual Analog Scale)で評価したが,術前の最大疼痛を10とすると,術後平均は3.3(0~7)であった.TFTは腰椎椎間板ヘルニアと鑑別を要するが,膀胱直腸障害の存在,MRI所見,誘発テストが陽性であることが異なる点である.画像診断で神経圧迫症状のない腰痛,下肢痛の鑑別診断としてtight filum terminaleを考慮する必要があると考える.

収録刊行物

参考文献 (5)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ