断層と割れ目系およびその充填鉱物を用いた阿寺断層の地質的履歴解析

  • 長友 晃夫
    名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻 現所属;出光オイルアンドガス開発株式会社
  • 吉田 英一
    名古屋大学博物館資料分析系

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of the geological history of the active Atera Fault, central Japan, based on fault and fracture systems and infilling minerals
  • ダンソウ ト ワレメケイ オヨビ ソノ ジュウテン コウブツ オ モチイタ アテラ ダンソウ ノ チシツテキ リレキ カイセキ

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抄録

岐阜県東部に分布する阿寺断層の地質的履歴解析のために断層帯中に発達する小断層群と割れ目系解析および充填鉱物の鉱物学的・地球化学的分析を行った.その結果,小断層群は(1)充填鉱物を伴わないカタクレーサイト,(2)高温性の充填鉱物を伴う断層,(3)低温性の充填鉱物を伴う断層の3タイプに分けられた.小断層群周辺の割れ目にも,石英やプレーナイト等の熱水循環に伴う充填鉱物と,後の天水浸透に伴う鉄水酸化物の沈殿が認められた.これらから阿寺断層は,地下の高封圧下でカタクレーサイトを形成(ステージ I)した後,熱水変質を伴いつつ未固結の断層ガウジを形成し(ステージ II),そして隆起と断続的断層活動に伴う断層ガウジの発達と天水循環による変質拡大(ステージ III),という形成史を経たと考えられる.このような断層および割れ目系とその充填鉱物を用いた多角的応用解析は,断層形成史や断層運動に伴う割れ目発達解析に有効であると考えられる.

収録刊行物

  • 地質学雑誌

    地質学雑誌 115 (10), 512-527, 2009

    一般社団法人 日本地質学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (25)*注記

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