肺癌におけるFDG-PET/CT‐有用性と診断上の注意点‐

  • 小川 洋二
    医療法人錦秀会阪和第二泉北病院阪和インテリジェント医療センター放射線診断科

書誌事項

タイトル別名
  • Integrated FDG-PET/CT in Lung Cancer

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抄録

FDG-PET/CTは,今や肺癌の診療に不可欠な検査となっており,結節性病変の良悪性鑑別,リンパ節転移診断,遠隔転移診断,再発診断において有用性が期待される.結節性病変の良悪性鑑別において,偽陰性となる主な要因として,小さな病変や,高分化腺癌,細気管支肺胞上皮癌などのFDGの取り込みが少ない腫瘍が挙げられる.偽陽性の主な原因は炎症性病変である.リンパ節転移診断においての問題点は,慢性炎症などの非特異的な集積による偽陽性である.一方,リンパ節の一部にのみ癌細胞が存在する微小転移は,高集積としては描出されにくい.PETの大きな特徴は全身の評価が容易に行えることにあり,遠隔転移診断には威力を発揮する.また,放射線治療後の線維化と再発腫瘍の鑑別など,治療後の再発の診断には非常に優れている.FDG-PET/CTは優れた診断法であるが,診断能力には明らかな限界があり,万能ではない.欠点を理解することが適切なPET検査の利用につながる.PETでの診断の際には,CTなどの形態画像と合わせた,総合的な診断能力が要求される.<br>

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 50 (6), 853-859, 2010

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (13)*注記

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