桃核承気湯により子宮を温存できた癒着胎盤の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Placenta Accreta Successfully Treated with Tokakujokito
  • 臨床報告 桃核承気湯により子宮を温存できた癒着胎盤の1例
  • リンショウ ホウコク トウカクジョウキトウ ニ ヨリ シキュウ オ オンゾン デキタ ユチャク タイバン ノ 1レイ

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抄録

産科臨床において,産後の胎盤が剥離しない癒着胎盤を時折経験する。強固に癒着した胎盤を無理に剥がそうとすると熟練した産科医が対応しても,時に大量出血,ショックを引き起こし予後不良となる場合もある。保存的に用手剥離術が困難である場合,西洋医学的には外科的に子宮全摘出術を行うしか方法がないのが現状である。<br>症例は27歳,初産婦。分娩後に胎盤剥離徴候がみられず,用手剥離術も不成功で超音波断層法,MRIで癒着胎盤(嵌入胎盤)であることが判明した。単純子宮全摘出術を勧めたが,本人の子宮温存希望が強いため,漢方治療を行うこととし,桃核承気湯を処方した。治療中,子宮内感染など産褥経過に異常をおこすことなく経過し,産褥50日目に完全に残存した胎盤を摘出することができた。文献的には胎盤遺残に関して漢方診療三十年(大塚敬節著)に数行触れられているのみで,癒着胎盤への漢方を応用した報告はなく貴重な症例と思われる。

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参考文献 (2)*注記

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