自律神経失調症候群の精神身体医学的研究

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タイトル別名
  • PSYCOSOMATIC STUDIES ON THE VEGETATIVE DISORDERS
  • ジリツ シンケイ シッチョウ ショウコウグン ノ セイシン シンタイ イガクテキ ケンキュウ

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抄録

内科を訪れる患者の中には,種々の方面からの検索にもかかわらず,特別の器質的疾患の診断を下し得ないものが多くみられることは,日常の診療に当つて,しばしば経験するところである.これらの患者の愁訴には自律神経性愁訴が比較的多く認められることより,自律神経機能の異常によるものであろうとの推定から,右来多くの学者より注目されてきたが,充分なる信頼の上に確立された自律神経機能検査法がないことより,客観性に欠け,多くの推論により混乱が生じ,今日に及んでいる.昭和37年の1年間に当内科を訪れた外来患者総数3,542名のうち,器質的疾患を諸種の検査成績より可及的に除外し,残つた218名(11.0%)を一応自律神経失調症候群と名付け,種々の面より臨床像の統計的観察を試みたところ,自律神経機能異常を主体とする病態,神経症的傾向の強いもの等の病像の混在することが推定された.そこでわたくしは,自律神経失調症候群を精神身体医学的見地から,mecholyl試験,客観的に清緒障害の有無ならびに精神性および自律神経失調性愁訴の多少を調べる目的でCMI (Cornell medical index)を活用し,さらに自律神経ならびに精神安定薬の投与による臨床像の改善の推移等から検討した結果,神経症,精神身体症,自律神経失調症の3群が存在することを知つた.現在の段階において,このように分類することが可能であり,これら自律神経失調症候群患者を臨床の場において理解するアプローチの手段として有意なものであり,かつ治療面においても有用なものと考える.

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