末しょう神経障害を主症状とし,各種自己抗体が陽性で血中免疫複合体が高値を示した結節性動脈周囲炎の1例

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  • A case of periarteritis nodosa with peripheral neuropathy as the major symptom accompanied with various autoantibodies and a high level of circulating immune complexes.

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抄録

末梢神経障害を主症状とし,血中免疫複合体の高値や各種自己抗体の陽性を示した結節性動脈周囲炎の78才,女性例を報告した.末梢神経障害はsensory-motor typeで,筋萎縮・筋力低下が目立つた.足趾の壊疽部の病理組織学的検索にて,中小の筋型動脈に炎症像が認められ,紫斑部の皮膚生検では,静脈に小血栓が認められた.神経生検では,有髄神経線維はほとんど認められず線維化していた.血中免疫複合体はC1q-binding assayにて高値を示し,各種の自己抗体も陽性であつたが,副腎皮質ホルモン投与により,臨床症状の回復と平行して改善を示した.本例は,診断基準の上からは,結節性動脈周囲炎と合致していたが,免疫複合体の高値・自己抗体陽性などの点から全身性エリテマトーデス(SLE)など,その他の古典的膠原病と類似の病態が示唆された.また,本例の主症状となつた末梢神経障害は, ischemic neuropathyであると考えられたが,その発生機序として,免疫複合体による血管炎の惹起や小血栓の形成が関与していた可能性が推測された.

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