カキ果実の脱渋に関する研究 (第1報)

  • 荒木 忠治
    農林省食品総合研究所新庄支所 新潟県食品研究所 農林省果樹試験場興津支場
  • 古田 道夫
    農林省食品総合研究所新庄支所 新潟県食品研究所
  • 金子 勝芳
    農林省食品総合研究所新庄支所 新潟県食品研究所 農林省食品総合研究所
  • 明田川 太七郎
    農林省食品総合研究所新庄支所 新潟県食品研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Studies on the Removal of Astringency in Japanese Persimmon (<i>Diospyros Kaki</i> L.)
  • カキ果実の脱渋に関する研究-1-脱渋過程におけるアルコール脱水素酵素,パーオキシダーゼ活性および果実成分の変化
  • カキ カジツ ノ ダツジュウ ニカンスルケンキュウ 1 ダツジュウ カテイ ニ
  • Studies on the Removal of Astringency in Japanese Persimmon (Diospyros Kaki L.)
  • I. Changes of Alcoholdehydrogenase, Peroxidase Activities and some Chemical Constituents in the Process of the Artificial Removal of Astringency in Kaki Fruits
  • 脱渋過程におけるアルコール脱水素酵素, パーオキシダーゼ活性および果実成分の変化

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抄録

渋ガキの代表的品種である「平核無」を用い炭酸ガスおよびアルコール脱渋過程におけるアルコール脱水素酵素, パーオキシダーゼ活性および果実成分の変化について検討した. あわせて, 果実の部位別および採取時期による酵素活性の差異を明らかにした.<br>1. アルコール脱水素酵素およびパーオキシダーゼ活性は果皮部が最も高く, ついで果心部で, 果肉部の活性はきわめて低かつた.<br>2. アルコール脱水素酵素は収穫時期がおくれるにつれ増加するが, この傾向は果心部で顕著であつた.<br>3. アセトアルデヒドおよびエタノール含量は脱渋に伴い増加するが, 増加の様相は脱渋法によつて異なつた. すなわち, 炭酸ガス脱渋区はアセトアルデヒド含量の増加が著しく, エタノール含量は少なかつた. アルコール脱渋区は逆にエタノール含量の増加が著しかつた.<br>4. アルコール脱水素酵素活性は脱渋処理により果皮部, 果心部で増加し, とくに炭酸ガス脱渋区で著しかつた. 果肉部の活性の変化は両脱渋区ともきん少であつた.<br>5. パーオキシダーゼ活性も脱渋に伴い果心部の増加が顕著であつたが果肉部の変化は少なかつた.<br>セファデックスG-200によるゲルろ過で三つの活性画分が得られたが, その主要画分はF-IIで全活性の82~96%を占めた. 脱渋処理による活性の増加に伴うパターンの質的変動は認められず, F-IIのみ増加した.<br>6. 脱渋過程におけるタンパク質含量は各部位とも増加した. 脱渋後について得られたゲルろ過のパターンは採取時に比べ分子量が大きい画分の増加が認められた.<br>以上, カキ果実の脱渋作用についてアセトアルデヒドの濃度を支配する要因のほかタンパク質代謝系の関与が推定され, また果心部の生理機能が重要な役割をもつものと考えられる.

収録刊行物

  • 園芸学会雑誌

    園芸学会雑誌 44 (2), 183-191, 1975

    一般社団法人 園芸学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (2)*注記

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