Interbody Fusion Cageを用いた腰椎前方侵入椎体固定術における生体力学的研究

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  • BIOMECHANICAL STUDY FOR ANTERIOR LUMBAR INTERBODY FUSION WITH INTERBODY FUSION CAGE

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抄録

脊椎固定材料であるinterbody cageを使用した腰椎前方侵入固定 (Anterior Lumbar Interboy Fuion, 以下ALIF) の生体力学的な研究報告は少ない.本実験は腹腔鏡下でのALIFを想定し, 周囲の軟部組織を骨と靱帯のみとした新鮮豚脊椎を用いL3/4, L4/5レベルにおいて, ねじ込み式の円筒状インプラントであるinterbody cage (HOLLOW MODULAR ANCHORAGE, AESCLAP, 以下HMA) の挿入方向, 個数における剛性の比較試験を行った.実験群は1: 無設置群 (以下intact) , 2: HMAを前方より正中に縦1本設置群, 3: 側方 (横) に1本設置群, 4: 前側方 (斜) に1本設置群, 5: 前方より平行に縦2本設置群とした.椎間板を含む上下椎体骨の腰椎単位を金属製箱に上下骨セメント (Surgical Simplex Howmedica) で充填固定し, 金属箱に設置したpullyに通したwireをインストロン型万能試験機 (島津オートグラフAGS-G100KN, 島津製作所, 京都) にて負荷しpullyの変位及び回転角の測定は画像センサー (キーエンス: CV-550) にて行い, それぞれの剛性値 (Nm/deg) を屈曲, 伸展, 側屈, 回旋において求めた.本実験方法では屈曲において最も剛性が強く, 次に側屈, 伸展, 回旋の順であった.負荷モード別では屈曲はintactに対し, 縦2本と前側方1本は約2.5倍, 側方1本と縦1本は約1.5倍の剛性を示した.伸展では側方1本が約2.0倍, 縦2本が1.5倍を示し, 他は1.2倍程度であった.側屈は縦2本が約2.7倍, 縦1本が2倍, 前側方と側方が1.2倍と有意な剛性増加を示したが, 回旋ではintactに対し縦2本と前側方1本の剛性が僅かに上まわるも, 縦1本と側方1本では下まわる結果となった.Interbody fusion cageは円筒内に自家骨移植が可能で長期的には上下椎体骨との骨性の癒合により強い剛性が得られる.一方, 骨癒合が得られるまでの重要な初期固定においては本実験上は後方要素を温存しているintactの剛性より, すべての負荷モードで高い剛性が得られた設置の方法は縦2本と前側方1本の群であり, 従来行われている前方より縦2本の設置法が生体力学的にも強固な方法であった.

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