喉頭筋筋線維構成の比較解剖学的研究

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タイトル別名
  • COMPARISON STUDIES OF THE MYOFIBROUS ORGANIZATION OF LARYNGEAL MUSCLES
  • 3. DOGS AND PRIMATES, MUSCLE FIBER AND NERVE FIBER
  • 3. イヌと霊長類, 筋線維と神経線維

抄録

発声と喉頭筋の発達との関係を明らかにするために, イヌ喉頭筋の筋線維構成を霊長類と比較するとともに, ヒトとサルの喉頭各筋の筋線維数と支配神経中の有髄神経線維数との比較を行い両者を対照し検討した.研究対象は, イヌは中等大の雑犬雌雄各1頭, ヒトは40歳代~50歳代の男性4名, サルはニホンザル雄成獣1頭で, イヌの喉頭筋はSudan Black B染色により筋線維を3型に分別, ヒトおよびサルの例では筋線維はHE染色, 神経線維はトルイジンブルー染色によった.結果: 1.イヌの喉頭筋には, ヒトおよびチンパンジーにみられた喉頭蓋筋と斜披裂筋は認められなかったが, 室筋が認められ, 発声への関与が考えられた.2.イヌの喉頭各筋の横断面積と筋線維総数は雌雄とも輪状甲状筋が最も大, 甲状披裂筋 (声帯筋を含む) がこれに次ぎ, 室筋が最も小で, 性別的には一般に雄の方が雌よりも大であったが, 横披裂筋と外側輪状披裂筋では差がなかった.3.イヌの喉頭各筋の筋線維型については, その頻度は各筋とも雄では白筋線維, 中間筋線維, 赤筋線維の順に高く, 雌の方が雄よりも白筋線維の頻度が高かった.その太さは, 雄では白筋線維, 中間筋線維, 赤筋線維の順に大で, 白筋線維は後輪状披裂筋と輪状甲状筋と横披裂筋が, 中間筋線維と赤筋線維では室筋が, それぞれ最も大で, 3筋線維型とも甲状披裂筋が最も小であった.雌でも雄と同順であったが, 中間筋線維と赤筋線維の差は少なかった.白筋線維では横披裂筋が最も大で雄と等しかったが, その他の筋では雄>雌の傾向が著明であった.4.イヌの喉頭各筋とヒト, チンパンジー, ニホンザル, ガラゴ等との比較では, チンパンジーに最も近く, ヒトよりも大きな筋が多く, 白筋的性格が強かった.5.ヒトとサルの喉頭各筋の支配神経中の有髄神経1に対する筋線維数を比較すると, ヒトの方がサルよりも各筋とも少なくて, 神経支配が密ということになり, その差は甲状披裂筋と横披裂筋において著明であった.ヒトとサルとイヌの喉頭各筋の筋線維総数をみると, ヒトとサルでは一定の数比が認められたが, ヒトとイヌとの問では筋によって大小の差が著しく, 異なった筋線維配分比を示していた.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679811945728
  • NII論文ID
    130001827800
  • DOI
    10.14930/jsma1939.50.591
  • ISSN
    21850976
    00374342
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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