冷戦期の「文学大使」たち

書誌事項

タイトル別名
  • “Literary ambassadors”:
  • American literature and its role in the US and Japanese national identity formation in the Cold War era
  • ―戦後日米のナショナル・アイデンティティ形成における米文学の機能と文化的受容―

抄録

1950年代に加速するアメリカの冷戦文化政策に,文学はどのような関わりを持ったのか.本論文は,戦後日本で広く名を馳せ,且つGHQや米国国務省の支援を受けた米文学作家-William Faulkner,Pearl Buck,Laura Wilder-とその作品に着目し,戦後アメリカが日本に対し行った「模範的民主国家アメリカ」の自己イメージ形成にこれら米文学作家・作品が果たした役割を考察する.一方日本人読者はどのようにその「アメリカ」を受容したのか.筆者は,日本人読者がアメリカを優越的他者として受容しながら,同時に文学に表象された,また作家自身が体現する「アメリカ」に日本文化との共通要素を積極的に見出そうとする解釈が見られる事に注目する.この独特な解釈には,戦後日本人がアメリカを「内側」に取り込み,自己として消化し,それを足掛かりにすることで形成しようとした新たなアイデンティティの一端を見ることが出来るのではないか.これらの考察を通し,本論文は,戦後冷戦初期に日米両国のナショナルな主体形成の一助を成した米文学の機能と,それを巡る両国間の相互依存関係を提示する.

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参考文献 (2)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205421471360
  • NII論文ID
    130003388477
  • DOI
    10.9748/hcs.2013.258
  • ISSN
    21871930
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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