<i>Mc1r</i>変異に基づくクマネズミ外来系統の日本列島における移入と浸透交雑の把握

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タイトル別名
  • Introgressive hybridization of two major lineages of invasive Black Rats, <i>Rattus rattus</i> and <i>R. tanezumi</i> on the Japanese Islands inferred from <i>Mc1r</i> sequences
  • Mc1r変異に基づくクマネズミ外来系統の日本列島における移入と浸透交雑の把握
  • Mc1r ヘンイ ニ モトズク クマネズミ ガイライ ケイトウ ノ ニホン レットウ ニ オケル イニュウ ト シントウ コウザツ ノ ハアク

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抄録

クマネズミはthe Rattus rattus species complexとも称され,複数の種からなる種複合体である.日本には古くに移入した東アジア地域起源のRattus tanezumi(2n=42)に加え,新規に移入したインド地域が起源のR. rattus(2n=38)の2系統が存在する.本研究ではこれらクマネズミ系統の日本列島における分布および移入の歴史を把握することを試みた.毛色関連遺伝子Mc1r(954 bp)をマーカーとし,奄美大島産を含む36個体の塩基配列データを新規に収集し,既存の配列データと合わせ,日本列島の17地点,さらに比較対象として用いたパキスタン産を含め,総計133個体のデータを基に系統学的解析を行った.その結果,小樽,小笠原諸島および東京の3地域でR. rattus型が認められ,これらの地点ではR. tanezumi型とのヘテロ接合体も存在した.これらの結果から,既存系統への浸透交雑が一部の市街部,港湾部および離島で進行している実態が明示された.一方,琉球列島の自然林では,R. rattus型のMc1rハプロタイプは認められなかった.これは,新たな外来系統R. rattusの定着や浸透交雑を起こさない何らかの要因が存在する可能性を示唆する.琉球列島には独自のMc1r配列の存在も認められ,他地域とは遺伝的に分化した集団として位置づけられる可能性も示唆された.<br>

収録刊行物

  • 哺乳類科学

    哺乳類科学 53 (2), 289-299, 2013

    日本哺乳類学会

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