エンターテイメント・エデュケーションの過去とこれから:我が国の公衆衛生分野における活用可能性

DOI
  • 河村 洋子
    熊本大学政策創造研究教育センター
  • SINGHAL Arvind
    University of Texas-El Paso, Department of Communication, Social Justice Initiative

書誌事項

タイトル別名
  • Past and future of entertainment-education: Possible application to public health practices in Japan

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抄録

目的:わが国におけるマスメディアの状況を鑑みると,健康医療を含む社会的課題についてマスコミ産業界と協働を進め,メディアアドボカシーの醸成を進めていくことが望まれる.エンターテイメント・エデュケーション(E-E)は人類が普遍的に活用してきた物語の力を,社会的な課題に対して戦略的に応用するものであり,協働の実現に向けて有用な手法である.本稿は開発途上国と米国などの先進諸国でも活用されてきたにもかかわらず,わが国では認知が低いE-Eの概念の理解を広げ,活用につなげていくための資料を提示することを目的とした.<br>方法:E-E関連文献,2011年米国での学会報告を参考に,共著者であるArvind Singhalとのディスカッションと最近の英文論文を基に,定義,歴史と現状,研究についてまとめた.<br>結果:1969年の『Simplemente Maria』に端を発し,主に開発途上国での実践と研究によりE-Eの方法論は積み上げられてきた.一方,米国などの先進諸国では,飽和状態にあるメディア環境に対応するように,E-Eの実践は発展してきた.近年のE-Eの実践は,ITの進歩により多様化している.<br>考察:我が国のメディア環境を踏まえてE-Eの活用実効性の可能性は高く,特に地域メディアとの協働とデジタルゲームの活用においては大きく期待できると考える.効果検証研究の実施における難しさを否定できないが,対処策として複数種のデータを活用した多面的な研究デザインが有用であると思われる.

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