Adaptive servo ventilationの使用により亀背に伴う肺高血圧の著明な改善が得られた症例

DOI
  • 武藤 晴達
    国立病院機構北海道医療センター循環器内科
  • 別役 徹生
    国立病院機構北海道医療センター循環器内科
  • 杉山 英太郎
    国立病院機構北海道医療センター循環器内科
  • 蓑島 曉帆
    国立病院機構北海道医療センター循環器内科
  • 玉田 淳
    国立病院機構北海道医療センター循環器内科
  • 藤田 雅章
    国立病院機構北海道医療センター循環器内科
  • 佐藤 実
    国立病院機構北海道医療センター循環器内科
  • 井上 仁喜
    国立病院機構北海道医療センター循環器内科
  • 寺西 純一
    国立病院機構北海道医療センター循環器内科
  • 竹中 孝
    国立病院機構北海道医療センター循環器内科
  • 岡本 洋
    国立病院機構北海道医療センター循環器内科

書誌事項

タイトル別名
  • A case report of successful treatment of pulmonary hypertension secondary to kyphosis with adaptive servo ventilation

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抄録

Adaptive servo ventilation(ASV)は中枢性睡眠時無呼吸の治療を目的とした在宅用非侵襲的陽圧式人工呼吸器である1).ASVの装着により,亀背に伴う肺高血圧が著明に改善した症例を経験したので報告する.症例は71歳,男性.幼少時に罹患した脊椎カリエスによる亀背がある.2009年1月に呼吸苦と全身浮腫を主訴に前医へ入院し,右心カテーテル圧測定で平均肺動脈圧51mmHgの高値を認め,肺高血圧と診断され安静と内服加療により軽快し退院した.同年7月に呼吸困難が増悪したため,当院へ緊急入院となった.入院時の酸素飽和度は55%,傾眠傾向を認め,血液ガス分析ではPaCO2 71.3mmHgと高値であった.心エコー検査では収縮期右室圧が高く(85mmHg),胸部X線で軽度肺うっ血を認め,BNPの上昇(104.7pg/mL)を認めた.呼吸不全,炭酸ガスナルコーシス,肺性心およびうっ血性心不全と診断し,利尿薬や呼吸機能改善薬の投与,少量の酸素投与を行ったが,高炭酸ガス血症が持続し,ナルコーシスの改善が得られなかったため,ASVの装着を開始した.その結果,血中炭酸ガス分圧が低下(57.7mmHg)し,ナルコーシスが消失した.収縮期右室圧は36mmHgへ,BNPは10.2pg/mLへそれぞれ低下が認められ,全身状態の安定が得られ自宅へ退院した.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 44 (8), 1062-1067, 2012

    公益財団法人 日本心臓財団

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