-
- 知念 渉
- 大阪大学大学院
書誌事項
- タイトル別名
-
- The School Experience of Japanese Lads
- 〈ヤンチャな子ら〉の学校経験 : 学校文化への異化と同化のジレンマのなかで
- 〈 ヤンチャ ナ コ ラ 〉 ノ ガッコウ ケイケン : ガッコウ ブンカ エ ノ イカ ト ドウカ ノ ジレンマ ノ ナカ デ
- Dilemma of Differentiation from and Integration into School Culture
- ──学校文化への異化と同化のジレンマのなかで──
この論文をさがす
抄録
本稿では,貧困・生活不安定層出身である〈ヤンチャな子ら〉の学校経験を描くことによって,①生徒のストラテジーの実証研究がない,②教師のストラテジーが生徒の学校生活に与える影響が明らかにされていない,というストラテジー研究の課題について検討した。<BR> 分析結果は次の三点である。第一に,〈ヤンチャな子ら〉は,家庭の文化に依拠して学校文化を異化しつつも,親たちの人生に自らの人生を重ね合わせず,高卒資格の意義を認めていた。学校文化への異化と同化の間で構造的ジレンマを抱えていたのである。第二に,そのジレンマに対処するため,彼らは「時間と空間のコントロール」,「非対称な関係性の組み替え」,「学校の意味世界の変換」というコーピング・ストラテジーを編み出していた。それに対して,教師たちは「時間と空間の再コントロール」,「組み替えられた関係性の資源化」,「生徒の意味世界の取り込み」というペタゴジカル・ストラテジーによって,彼らを教育活動に巻き込んでいた。第三に,教師たちのストラテジーにより,〈ヤンチャな子ら〉は教師を肯定的に評価しており,その評価は登校継続に積極的な影響を与えていた。だが,学校から一度離れたケースでは,教師への肯定的評価が登校継続に逆効果をもっていた。<BR> 以上より,生徒が構造的ジレンマのなかで様々なストラテジーを用いて学校生活を過ごしていること,教師のストラテジーの効果は生徒の解釈や状況に依存することが明らかとなった。
収録刊行物
-
- 教育社会学研究
-
教育社会学研究 91 (0), 73-94, 2012
日本教育社会学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001205398324096
-
- NII論文ID
- 130003397432
-
- NII書誌ID
- AN0005780X
-
- ISSN
- 21850186
- 03873145
-
- NDL書誌ID
- 024145907
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- NDL
- Crossref
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可