小腸穿孔をきたしたクローン病の1治験例

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  • A CASE OF CROHN'S DISEASE WITH FREE PERFORATION OF THE SMALL INTESTINE

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抄録

クローン病の合併症として穿孔は極めてまれであり,本邦では14例の報告をみるにすぎない.最近,穿孔性腹膜炎のため緊急手術を施行した回腸・結腸型クローン病の確診例を経験したので報告する.症例は24歳,男性で下痢を主訴として来院.サラゾピリン,プレドニソロンの保存的治療にも改善がみられなかったため,手術が予定されたが,術前のプレドニソロン漸減中,突然,腹膜炎症状が出現し,緊急手術となった.穿孔は回腸末端より90cm口側に認められ,回盲部に著明な狭窄を伴っていた.また,潰瘍病変はトライツ靱帯より1m肛門側から上行結腸まで広範囲に存在した.手術は空腸を約70cm残す小腸広範囲切除及び右半結腸切除を施行したが,術後,栄養障害の他,肝膿瘍や肺炎などの重篤な合併症が併発し,長期の集中的管理を必要としたものの,無事退院せしめることができた.<br> 穿孔の原因として種々の因子が考えられるが,自験例では肛門側の狭窄病変及びステロイド投与の影響が強く疑われた.穿孔例に対する手術方針としては,単閉鎖やバイパスより腸切除が予後良好とされているが,小腸広範囲切除の場合は,栄養管理,感染症対策を含めた綿密な術後管理が必要である.

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