放射線療法患者におけるT細胞の経時的変動について

書誌事項

タイトル別名
  • CHANGES IN T-CELL COUNT IN PATIENTS UNDERGOING RADIOTHERAPY
  • ホウシャセン リョウホウ カンジャ ニ オケル Tサイボウ ノ ケイジテキ ヘ
  • WITH PARTICULAR REFERENCE TO PREOPERATIVE IRRADIATION FOR GOSTRIC CARCINOMA
  • 胃癌術前照射を中心として

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抄録

放射線療法に際し生ずる白血球,とくにリンパ球を中心とする血液細胞系の障害は古くから知られていた現象である.リンパ球がT細胞とB細胞のsubpopulationに分類され,しかもT細胞が生体において細胞性免疫を司ることが認められている今日, T細胞の検索は患者の免疫動態を知るうえで重要な手段となる.<br>そこで著者は放射線療法における細胞性免疫能の動向を知る目的で照射患者の末梢血のT細胞を,照射前,照射中及び照射後6カ月まで経時的に測定した.<br>検査対象は東京医大霞ケ浦病病で60Co照射を施行した胃癌20例,乳癌15例,大腸癌9例をはじめとする69例の悪性疾患である.<br>1回照射線量は原則として200radとし, 5~6日/週の連日照射を行った.総線量は2,000radから10,000radにわたった.<br>T細胞測定はマイクロテストプレート法を用い,照射前1回,照射中は1,000rad毎,照射後6週までは各週,以後6カ月まで毎月1回行った.<br>結果: (1) T細胞の減少は3,000radまで著明な減少をみせたがそれ以上の量になると減少は穏やかとなった. (2) T細胞の減少は頭頚部照射例で軽微であり,胸腹部照射で顕著だった.したがって照射部位はT細胞減少に大きな関連をもつと思われた. (3) 照射野の広さからみると,細胞は広範囲の照射野のもので著明に減少した. (4) T細胞の回復は照射線量の少ない程早期にみられ, 7,000rad以上では6カ月以内に回復しなかった. (5) 胃癌では切除例に比べ非切除例のT細胞の回復は明らかな差で不良であった. (6) T細胞の変動を,上昇型, U-型,平坦型,下降句の4型にわけそれぞれの予後を検討すると明らかな差異を認めた.

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