骨性胸壁の切除と再建

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タイトル別名
  • RECONSTRUCTION OF SURGICAL DEFECTS OF THE BONY THORAX
  • ホネ セイ キョウヘキ ノ セツジョ ノ サイケン

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抄録

今回われわれは,骨性胸壁の切除あるいは再建を施行した最近の3症例を通じて,広範囲胸壁切除後の再建方法,再建後の術後管理と問題点,さらにその予後について若干の考察を加えて報告する.<br> 1981年10月までの過去22年間に当教室で取り扱った骨性胸壁切除あるいは再建した症例は44例である.疾患別にみると腫瘍が23例,炎症17例,奇形2例,外傷1例,不明1例であった.腫瘍をさらに分析すると原発性胸壁腫瘍15例,転移性胸壁腫瘍8例で,原発性胸壁腫瘍のうち良性は4例,悪性は11例であった.使用した人工胸壁の内訳は,人工骨(Kiel bone), Marlex mesh各3例, teflon mesh, Kiel bone+teflon mesh各2例, Kiel bone+Marlex mesh 1例となっている.その他の症例は,自家骨移植(3例)や周囲の筋肉や組織で欠損部を補填している.<br> 症例1は, 62歳女性で,胸骨に発生した孤立性骨髄腫の症例で切除後の再建方法としては,胸骨欠損部の補填にMarlex meshを用いた.<br> 症例2は, 59歳女性で,右乳癌のため右乳房切除術を受け,その後放射線照射による組織壊死および気管支瘻を生じた症例で,壊死組織切除後の胸壁欠損部を対側の乳房を用いて被った.<br> 症例3は66歳男性で,肺カルチノイドの症例であった.手術は,右上葉切除および転移した右第2, 3, 4肋骨の合併切除を行い,筋肉を縫い合わせるのみで補填材料は使用しなかった.<br> 3症例のうち,術後呼吸問題でわずかに危惧されたのは,症例3のみで,これも軽度のflail chestは認められたものの,動脈血ガス分析にて低酸素血症も換気不全も認められなかった.<br> 症例3を術後1年1カ月目に全身骨転移により失っているが,症例1, 2は,術後それぞれ2年目, 2年1カ月目の現在,元気に普通生活を送っている.

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