慢性の嚥下困難を来した腹部嚢状大動脈瘤破裂の1例

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  • A CASE OF RUPTURED ABDOMINAL AORTIC ANEURYSM WITH SWALLOWING DIFFICULTY FOR A LONG TIME

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抄録

75歳男性の細菌感染に起因すると思われる嚢状腹部大動脈瘤破裂例で腹腔内癒着のため出血は腹部へは波及せず,逆行性に徐々に後縦隔へ血腫を形成しつつ波及し,長期間の食道通過障害を主訴とする興味ある経過をとった極めて稀な1例を報告した.<br> 患者は某病院にて7カ月前に穿孔性腹膜炎に対する開腹術を受け, 2カ月程前より嚥下困難を訴え食道造影検査にて下部食道の通過障害が観察されたが内視鏡的には器質的病変は認められず機能的疾患と診断されていた.<br> 突然の胸部痛と呼吸因難があり胸部X線写真で胸部大動脈瘤破裂が疑われ当院へ転送されたがショック状態から心停止を来し外科的には救命できなかった.<br> 剖検にて横隔膜直下の腹部大動脈前壁の嚢状動脈瘤破裂と腹部臓器高度癒着および横隔膜下膿瘍が多数認められ,腹腔内への出血はなく多量の器質化した筒状の血腫が縦隔内に認められた.

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