コアグラーゼ陰性ブドウ球菌のカテーテルへの付着性の研究

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タイトル別名
  • Adherence Ability of Coagulase-Negative Staphylococci to Catheter Materials
  • コアグラーゼ インセイ ブドウキュウキン ノ カテーテル エ ノ フチャクセイ

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抄録

静脈カテーテルなど体内挿入物や医用器材からしばしば分離されるコアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (CNS) の静脈カテーテルへの付着性を検討し, カテーテルを介する感染の機序とその予防法について考察した. CNSのカテーテルへの付着性はカテーテル素材の種類により差があり, 培養ヒト細胞への付着能と相関することが認められた. 又, 静脈カテーテル由来CNSは, 他の臨床材料由来のCNSに比べ高い細胞付着能を有する株が多かった. 検討した4種のカテーテル素材の内, Ethylene vinyl acetateが最も高い付着性を呈しSiliconが最も低い付着性を示した. CNSのカテーテルへの付着には両者の物理化学的性質 (両者の疎水性, 菌体の陰性荷電, カテーテルの表面構造, カテーテルへの添加物, カテーテル表面処理) が重要な役割を果たし, 更に両者が接する生体内の因子としてフィプロネクチンや輸液剤 (プロテアミン-ハイカリック液) が付着を増強させた. その結果, CNSのカテーテルへの付着を抑制するためにご, 表面が平滑で疎水性が高く, タングステンを含み, ウロキナーゼにより表面処理を施された素材を用いたカテーテルが有効であることが認められた. カテーテルを介する感染の予防にごは, カテーテル素材の改良の検討と共に, カテーテル操作における無菌操作の重要性が示唆され, 院内感染 (日和見感染) 原因菌としてCNSの病原性を見直す必要性も認められた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 64 (12), 1542-1549, 1990

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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