胃癌進行度判定上の問題点

書誌事項

タイトル別名
  • Problems on Judging the Progress Stage of Gastric Cancer
  • イガン シンコウド ハンテイジョウ ノ モンダイテン

この論文をさがす

抄録

胃癌研究会では進行度を4段階に分類しているが, この分類には肉眼的判定と組織学的判定とがあり, 両者の間に思いがけない程の差を経験することがしばしばである. そこで432例を対象とし, リンパ節転移(N, n), 漿膜浸潤(S, s)について肉眼的判定と組織学的判定とを比較してみた. N>n, すなわち肉眼的にリンパ節転移ありと読み過ぎた例が53%, N<n, すなわち転移なしと見誤つた例は4%に過ぎなかつた. numberの増加するに従い, Nとnとが一致する例が多かつた. 漿膜浸潤についてもS>sが27%, S<sは8%で, 肉眼的に過大に見誤る傾向が強い. リンパ節転移を過小に判断し, 郭清が不十分となつた場合, またs0をS3と見なしてリンパ節の郭清を行わなかつた場合はいずれも非治癒手術となり, 判定の誤りが予後に重大な影響を及ぼす怖れがある. よつて常々に肉眼的所見と組織学的所見とを対比し, 肉眼的判定の正確を期することが重要である.

収録刊行物

  • 医療

    医療 32 (3), 346-350, 1978

    一般社団法人 国立医療学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ